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建築構造関連の最近のブログ記事

ちょっと久しぶりになってしまいました。。

今回は、簡単な計算だけで分かる構造設計例と、
今後エンドユーザー(購入者)が、定量的に建築構造を理解
できるための提案をしたいと思います。

まず、
構造設計と聞くだけで、
「分からない」
「興味ない」
「専門家が責任を持ってやってくれ」
という風潮があります。

構造設計者は、設計をするからには当然ながら
責任を持って仕事をしますが、
あまりにもバランスの悪い建物を設計しなければ
ならない場合に、

「責任を持て!」

と言われれば、
我々の言い分もちゃんと聞いてほしくなります。

でも、何度も書いてきたように
構造設計者が下請けであることから、
我々の言い分が元請けで止まってしまうことが
少なからずあるんです。

構造設計者がクライアントと同じ土俵で仕事を
できるようならないと解決が難しい部分だと思います。

なので、まずはエンドユーザーや元請けにも
構造設計に興味を持ってもらうことが重要だと思います。

そのためには、
イメージ的に分かる構造計画や、
簡単な計算のみで分かる構造計算を普及させる必要が
あると思います。

実際は、
簡単な計算だけでは構造設計は不可能です。

でも、エンドユーザーや元請けと構造に関する会話
(コミュニケーション)をするためには、難しい部分はこの際
排除する必要があります。

まずそうすることからはじめて、
「ここは、なんでこうなるの?」
といった、質問がエンドユーザーや元請けからくれば
興味を持ってくれた証拠なので、しめたものです。

そこで、はじめて難しい部分に触れれば良いのでは
ないでしょうか。

そういった観点から話を始めたいと思います。

では、
簡単な計算だけで分かる構造設計例について書きます。

ここでは、
最もトラブルの多いRCマンションの場合について取り上げます。
(鉄骨や木造は比較的柔軟にいろいろな設計に対処できるので
ここでは割愛します。)

1.梁せい(梁の高さ)の略算

天井をできるだけ高くしたいエンドユーザーは多いと思います。

そこで、ネックとなるのが梁せい(梁の高さ)です。

天井高を2.4mにしたいと思ったら、
階高3.2mで梁せいを60cm程度にする必要があります。
(天井から梁が出ないことを前提にしてます)

では、60cmの梁が構造的に問題がないかどうか?
を知る必要があります。

そこで、
梁せいを10倍してください(600cm→6m)。

これが、その梁が構造上問題ないとされるスパンの目安です。

なので、
「天井は2.4mほしい!」
「リビングは100平米(10m×10m)の無柱空間にしたい!」
という要望は無理があるのです。

まず、その程度を知ってください。

それを知ったうえで、
「それでも、なんとかこの空間を作りたい!」
となれば、いろいろな方法で実現することはできます。

ただし、
費用はかかりますし、
構造的な安全余裕度を減らす原因になることは
承知してもらわなければなりません。

逆に、
デザイナー任せで住宅などを設計するときは、
この目安を元にして、
「この部屋10倍以上だけど大丈夫?」
とデザイナーに確認するくらいが丁度良いと思います。

2.スラブ(床)の略算

柱のない大空間は気持ちの良いものです。

素敵な家具をどこにレイアウトしようか?
テレビをどこに置こうか?
などなど、考えるときはとても楽しいと思います。

ただ、
大抵の方は、建物のスラブ(床)は強固で頑丈な岩盤のような
イメージをしている方が多いと思います。

それは、違います。

1トン以上あるコンクリートの塊が宙に浮いてるんです。
大地の岩盤とは訳が違います。

勘違いしては、だめです。

ちゃんとスラブの厚みを検討しないと、
重さで床が抜けることだってあるんです。

そこで、部屋の広さ(縦×横)がどのくらいか?
を目分量でも良いので見てみてください。

部屋の広さ(縦×横)の短辺が4.5m以下の場合は、
大抵の場合は、問題ありません。

4.5m以上の場合は、
スラブ厚を30倍してください

スラブ厚が15cmであれば、15x30=450cm→4.5mとなり、
これが部屋の短辺方向の長さの目安になります。
(鉄筋の配置や、防音の観点から15cm以下の床は
ほとんどありません)

ただし、
部屋を広くしたいから床を厚くするのは、建物が重くなって
地震時に危険になるのでお勧めできません。
(大きいスパンの床の場合は、スラブ内にパイプをいれて
中空にして軽くする工法などもあります)

次に、
「柱の大きさ」と「壁の長さ」の略算を・・・
できれば書きたいのですが、実はこれはちょっと難しいです。。

簡単な計算だけでは分かりません。

なので、ここで提案をしたいと思います。

柱の大きさや壁の長さを計算しなくても誰でもある程度
把握できるようにするために、

建材数量のデーターベース化を提案したいと思います。

建材とは、コンクリートや鉄筋などのことで、
数量とは、建物を造るときに用いる量のことです。

建物は、建設する前にコストの調整をするために
積算をして全ての建材の数量を必ず計算します。

その数量を建物規模ごとにグルーピングすれば、
建物ごとに大きな数量の差異がないかどうかが一目瞭然になります。

なので、コストが合って建設の段取りがついた建物の
建材数量を役所などに提出して、誰もが閲覧できるようにしたら
良いのではないかと思います。

そうすれば、明らかに数量の少ない建物があれば
エンドユーザーが購入する前に自己責任で判断できると思います。

現在は、
各設計事務所やゼネコンなどが、建物規模ごとに数量の基準を
持っているところが多いですが、これも商業主義のために閲覧は
できません。
(A社はB社より数量が少ないのでA社に頼めば安くなるぞ!などと
なってしまい兼ねないので・・)

今は、簡単にたくさんの情報が手に入る時代です。

「情報開示」は、
将来の建築業界の重要な課題になると思っています。

ただし、
建築は、人の手で作りますし、建設する土地によって
条件が変わってきますので、一筋縄ではいきません。

上記した「目安」を参考にしながら、
命の次に大事な資産である建物を、設計者や技術者と一緒になって
造っていく姿勢が大事なのは、言うまでもありません。

・・・

地震のような天災が起きたとき、
耐震偽装のような人災が起きたとき、

風、雨、寒さ、暑さから守ってくれていると思っていた「家」は、
あなたに襲い掛かる凶器に変貌してしまいます。

そうならないためにも、
「家」の構造に興味を持ってほしいと思っています。

・・・

・・・建築構造を知らないと、損しちゃいますよ・・・

「知らなきゃ損する建築構造・・・構造設計」
おわり

前回のつづきです。

構造設計はあくまでも基準です。

なので、最近ニュースでよく用いられる耐震強度なる数字

0.7とか1.1とかはあくまでも基準に対する数値です。

1.0を下回ると必ず壊れる!とは誰も言えないのです。

言えないどころか、ベテラン構造設計者ほど耐震強度の
示す数字の無意味さを知っているはずです。
(注:1.0以下を正当化しているのではありません)

実際、わたしが経験した構造計算でもこんなことがありました。。

中規模程度の地震を想定した構造設計(1次設計といいます)
ではNGなのに、
大規模地震を想定した構造設計(2次設計といいます)では
OKになるという結果がありました。

そこで、1次設計でOKになるように鉄筋を増やすと今度は
2次設計ではNGになってしまいました。。

構造計算(RC造では特に)では、よくこのようなことが起きます。

(建築専門の方だけ/・・・/内も読んでください)
/・・・
14階建てのラーメン構造のRCマンションで、
3方向からの斜線制限があり各方向からセットバックして
アンバランスな形態だった。

ある階の大梁の鉄筋が1次設計で不足するので
増やすと、2次設計(保有水平耐力計算)でNGになる。
鉄筋を増やさないと1次設計はNGだが、2次設計はOKになった。

その階の大梁の耐力が増すことで崩壊メカニズムに微妙に影響して
2次設計で保有水平耐力が不足してしまう。
それどころか、鉄筋を増やすことで大梁部材がFDとなってしまって
保有水平耐力の値は急激に低下してしまう。

終局強度の算定方法を変えてみたり、層間変形角を変えてみたり
してなんとか成立したが、構造設計の本筋からは外れたテクニック
を用いないと現在の電算出力による構造計算書を正確に作れない
矛盾を示す良い例だと思う。
・・・/

構造設計は、
今ではパソコンなしにはできないほどのスピードを要求されます。

でも、パソコンはあくまでもツールであって判断は当然ながら
構造設計者がするのです。

構造計算ソフトをインストールしたパソコンの出した結果に
翻弄されて自分の判断を歪めてしまっては意味がありません。

でも、、

構造計算書は、パソコンで出力したものでないとお役所や
審査機関は認めてくれないことが多いです
(大臣認定番号があるとか、ないとかというくだらないレベルでの
議論になってしまいます)。

鉄筋一本増やしただけで、計算結果が大きく変わるのが
パソコンでの構造計算なんです。

実際の建物がそんなに繊細なものでしょうか?

それは、間違いなく「NO」です!

そんなに繊細だとしたら、
建物を人に作らせること自体が間違いだというのと同じです。

現場監督に、
「構造計算とおりに施工しなさい!」と言えば、
「総工費と工期を2倍にしろ!」と言われるでしょう。

構造計算技術は、「ハイテク」かもしれませんが、
建築は今も昔も人の手で作る「ローテク」なんです。

なので、「ローテク」で作ることを想定するための
ある程度の「余裕」を持たせて構造計算をするのが
正解だとわたしは考えています。

でも建築業界は、

時は金なり、
鉄筋1本も金なり、
1.2より1.1のほうが安い!

という商業主義が勝っています。

あるデベロッパーの担当者は、計算書を見るなり
「1.2ならまだ余裕あるから鉄筋減らして」
と言う方もいました。

ひどい場合は、
「この金額になるように構造設計して」
なんてことも。。

1.0ぎりぎりの建物は、建設の過程で0.8になる可能性は
大いにあるんです。

人が長期間作るものにミスは必ずあります。

現場が、鉄筋の発注で鉄筋の本数を間違えたり、
方向を間違えて施工したりなんてことはしょっちゅうあります。
(当然、代替案で施工してもらいますが)

構造設計というものが、どんなものなのか?を
多くの人(デベロッパー、ゼネコン、エンドユーザー)に
知ってもらう必要があると思います。

A氏の構造設計の鉄筋は、誰が見ても少なすぎなので
弁解の余地はありませんが、

1.0とか0.75とかの意味も分からずに数字だけが
一人歩きしている現状には、いかがなものかと思っています。

・・・

あっ、ちなみに長くなりましたが、
ここまでが前置きです(笑)。

次回は、
難しい計算をしなくても分かる構造設計、
エンドユーザーが定量的に判断できる構造設計の提案、
を書いてみたいと思います。

今回は、また話題になってしまっている(汗)

「構造設計」

をテーマにエンドユーザーに注意してもらいたい点について
できる限り分かりやすく書いてみたいと思います。

「知らなきゃ損する建築構造」

■計算しなくても分かる構造設計


以前、当ブログでも取り上げましたが、
やはり今になって某グループの耐震偽装が問題になってきました。

でも、一昨年のA氏の偽装事件発覚時に比べれば
静かな印象を受けるのはわたしだけでしょうか??

騒いだところで、どうにもならないし・・・

といったあきらめムードなのか、

呆れて何も言えない状態なのか、、

世間の不安を煽ることの無意味をマスコミが学んだのか、、、

いずれにしても、
この種の事件に麻痺している世間一般も含めて、
建築業界は病んでいます。

病んでいる業界に人任せにせず、
エンドユーザー自身が勉強をして「自己責任」という感覚を
持たなければならないと思います。

とは言っても、、

「構造計算」を理解しろ!と言われても、
エンドユーザーにしてみれば、
チンプンカンプンで、全く興味のないものでしょう。

それは、しょうがないです。

設計を職業にしている一級建築士でさえ構造計算は
チンプンカンプンな方が多いのです。。

全部を知る必要は全くないんです。

構造設計は、
構造計算をする前に構造計画を行います。

特殊な建物を除いて、
構造計画の段階では、難しい計算行為は
行いません。

この構造計画こそが、
構造設計の中で一番大事なんです。

なので、構造計画を是非勉強してください!

イメージで理解できることも多いですし、
バランス感覚のある方なら得意になってしまって
面白いと感じる方も多いと思いますよ。

難しい数式を覚えて計算をするのは、
構造設計者に任せてください。

でも、構造計画の段階では
エンドユーザーにも参加してもらって設計者と
対等に議論できるのがベストだと思います。

自分の家の安全性を担保する骨組みについては、
やはり自分で理解している必要性があると思います。

医療の世界でも、
インフォームドコンセント
(治療に先立って病状や治療方法を”分かりやすく”
患者に伝えること)が常識になってきてますしね。

では、

構造計画のプロセスを始めます。

1.建物のボリュームを検討する
 どのような形、広さ、高さの建物にしたいのかを
 法規の適合を確認しながら決めます。

解説:
現状の設計業務は、ボリューム検討の時点では
意匠設計者のみが行うことが多いですが、この段階で
構造計画を同時にできるかできないかで建物の質の
大部分が決まってしまうと言っても過言ではないと思ってます。

2.構造形式を決める
 剛な(かたい)建物にするか、
 柔な(やわらかい)建物にするかを決めます。 

解説:
建物が柔?と思うかもしれませんが、
地震という自然の猛烈なエネルギーの前では、
建物は決して頑丈なものではありません。

人が針金を簡単に曲げられるように、
地震は簡単にみなさんが頑丈と思い込んでいる建物を
崩壊させます。

まず、地震のエネルギーの程度を理解してください。

一般的に、剛な建物のほうが頑丈そうなイメージがあって
良さそうかな?と思う方が多いかもしれませんが、
一概にそうとも言えません。

柔な建物は、地震時に”しなやか”に揺れてくれることで、
建物を損傷から守ってくれるんです。

剛な建物の代表は、
「2x4(ツーバイフォー)」や
「ブレース構造」や
「壁構造」などです。

柔な建物の代表は、
「ラーメン構造」です。
(※ラーメンはドイツ語で「フレーム」の意味で、
麺ではないですよ(笑))

一般的に、5階程度の低層建物の場合であれば
剛でも柔でも建物形状に合った構造形式を採用して
問題ないと思います。
ただ、中高層になってくると剛な建物は地震時に転倒
する可能性がでてくるので柔な構造形式が望ましいです。

3.バランスを考える

どこに柱を設けるか、
どのくらいのスパン(柱間距離)にするか、
壁の配置が偏っていないか、などを決めます。

解説:
柱の位置は、
必要所室の大きさとの関係で決まることが多いです。

ですが、所室を優先して柱位置がめちゃくちゃでは
当然ながら健全な骨組みとはいえません。

構造形式によって、適正スパンというのがあります。
目安ですが、
木造:3m程度
鉄筋コンクリート構造:7m程度
鉄骨造:10m程度
なので、このスパン以下で柱を設けたほうが良いです。
そのほうが、コストも安く、工期も早くメリットが多いです。

壁の配置の場合は、
建物形状の中心(重心)を基点に線対称または点対称
になるように配置するのが基本です。

「南側には採光のために大きな開口を作りたい・・」
というのは誰でも望む希望です。

なので、大抵の住宅は南側の壁が不足しています。

その分を日照の少ない北側に多く壁を設けたりしますが、
これは、理想的にはバランスが悪くよくありません。

地震のときに建物がねじれてしまうんです。

小規模で低層の場合に限って、ねじれを無視しても
良いという構造計算のルールがあるのですが
(構造計算ルート1といいます)、理想的ではない
ということは忘れないでください。

ねじれがイメージしずらい方は、
次の実験をしてみてください。

4つ足のキャスター付のサイドテーブルなどを、
一箇所だけどこかの足のキャスターをロックして
テーブルを動かしてみてください。

ロックされた足を基点にくるくる回ってしまいますよね。

建物も同様です。

建物の場合は基礎があってくるくる回れないので、
剛な壁が多い部分を基点にしてねじれます。

現在の構造設計では、この「ねじれ」というものに
対する個々の部材の安全性の基準が曖昧です。

なので、できるだけねじれない平面計画を
心がけたいところです。

構造計算というのは、あくまでも基準です。

バランスの悪い建物でも、基準を満たすことはできます。

新築の段階で、すでに背骨が曲がっているような
建物でも強引に設計すれば基準は満足できます。

ただ、
「本当にこれでいいんですか?」
と逆に聞きたくなってしまう建物もかなりあります。

自己責任で基準に甘えるのは、自由です。

ただ、

外見的な美しさだけに気を取られずに、
内面(骨組み)の美しさを意識することの重要さを
もっと考えてほしいと思います。

すごい長くなってしまったので、、
続きは次回にします。

前回は、新築に関する建築構造の注意点を書きました。

新築の場合は、
外観のみで構造を判断するのは難しいので、
現場を頻繁に見たり、図面を見る必要性を書きました。

また、
斜線制限などの建築法規のために、危うい建築構造も
多数あることも書きました。

今回は、
既存建物の外観から判断できる建築構造について、
書いてみたいと思います。

・・・

リフォームがブームになったのは今から4,5年前からでしょうか。

「そのときタクミは・・・」

「まぁ、なんということでしょう・・・」

でお馴染みのテレビ番組は、リフォーム人気の火付け役のような
存在でした。

その後、

リフォーム人気に便乗して、「リフォーム詐欺」なるものまで
現れました。

リフォームとは、
まさに既存建物をできるだけ再利用して行う、建物を再生する
ための手段として行われます。

新築するよりも、コストは安くできることが多いですし、
地球環境の観点からも、優れた手法だと思います。

ただ、

住宅程度のリフォームは、法律上無資格でもできる仕事です。
(規模などによっては、無資格ではできません)

まず、そこに気をつける必要があります。

リフォーム番組で、壁を次から次へと破壊していくのを
見たことがあります。

「壁を取り払うことで、明るい空間ができました・・・」

などという優しい語り口のナレーションに騙されてちゃだめなんです。

その壁が、その建物の強度上不要で破壊しても問題ないのか
どうかは、建築家(意匠系の設計者)の大半には判断できません。

それは、一級建築士であっても同様です。

構造設計者でないと分からないと思います。

なので、

リフォームを外観で判断するときの注意点は、

・広い空間がある(壁が少ない)
・大きい開口がある(壁が少ない)
・吹き抜けがある

などは注意する必要があります。

壁を壊して広い空間を作ったり、
大きい開口を設けている可能性がありますし、
床を壊したことで、床の強度が不足する可能性があります。

もちろん、検討の結果そのようになっているものは
問題ありませんが、この種の構造検討は
法律上も難しい点もかなりあるので、疑ってかかる
くらいで丁度良いと思います。

・・・

次にコンバージョンについて書きます。

コンバージョンとは、
建物の使用用途を変えて再利用することを言います。

例えば、
オフィスビルを → 共同住宅に変更。
などがコンバージョンにあたります。

オフィスビルを共同住宅に変更するような場合は、
確認申請が必要なので、無資格ではできません。

コンバージョンするときに特に今流行っているのが、

「バリアフリー」建築です。

バリアフリーとは、段差をなくしてお年寄りや
車椅子の方が使いやすいように配慮した建築のことです。

「それはとても大切なことだ。」と大多数の方が考えると思います。

しかし、

バリアフリーにするために、屋台骨を部分的に壊さないと
できないことがあることを、エンドユーザーの大半は知りません。

バリアフリーは、今はちょっとしたブランドみたいに
なってしまっています。

「バリアフリーにすれば、セールスポイントが増える!」

くらいの安易な感覚で考える業者もいると思います。

要注意です。

特に、

バリアフリーは段差がないだけに、構造的な面以外にも
「水」に対する配慮が特に重要です。

雨水が浸入したり、
水ハケが悪かったり、
漏水したり
と大変な欠陥になり兼ねないのです。

基本的には、

バリアフリーにするのであれば、新築するときの設計段階で
入念に検討する必要があります。

既存建物をコンバージョンしてバリアフリーになっている
建物の場合は、

・無理な計画をしていないか?
(流行のアイランドキッチンは、いろいろと難しいことが多いです)
・屋台骨の壊した部分があるとしたら、どこか?

などを
ちゃんと確認する必要があるでしょう。

コンバージョンのように建物の用途を変更すると
法規的な取り扱いが大きく変わることがあります。

そのときの優先順位が何か?によっては、
屋台骨である構造体を傷つけることを止むを得ない!
という場合が少なくありません。

・二方向非難のために、壁を壊して出口を作らざるを得ない。

・警報機を新設するために設備スリーブを後からコア抜きせざるを得ない。

などなど・・・

大抵、
後で仕上げをするので隠れる構造体に対する優先順位は、
一番最後になります。

「くさいものには蓋をする」
「知らぬが仏」

とばかりに、、
構造についてはエンドユーザーが知らない事実がたくさんあるのです。

結論として、
建築構造を外観で気をつけるためには、

「見た目の良いものほど疑ってみる」

ということだと思っています。

何を信じたらいいのか不安になりそうですが、、
現状の建築業界は、商業主義に偏っていることを肝に銘じるべきです。

一生に一度の高い買い物を後悔しないためにも
ぜひ、見た目だけで判断しないようにしてもらいたいです。

・・・

・・・建築構造を知らないと、損しちゃいますよ・・・

「知らなきゃ損する建築構造・・・外観」
おわり

今回は、

「外観」

をテーマに建築構造との関係性を取り上げてみます。

「知らなきゃ損する建築構造」

■外観で分かる建築構造


日本には、いろいろな建物が混在しています。

伝統木造

鉄筋コンクリート造

ガラス張り建築

北欧住宅

超高層建築

などなど・・

しかも、各々が競ってユニークなデザインを求めているので

都市景観全体でみると、「ごちゃごちゃ」なカオス状態です。

正直いって、

「日本」という単位で都市景観を論じるのは、
現時点では手遅れ状態と言ってしまってよいと思われます。

日本人でありながら、
京都に残された伝統的な町並みはすでに異国と感じます。

海外の建築評論家が皮肉として

「日本の建築デザインはユニークなので、有能なエンジニアが育つ」

と言っていました。

この言葉の裏には、

「日本のエンジニアリングの高さが、好き放題デザインすることを
許す基盤を作っている」

という意味が込められていると思います。

ヨーロッパなどは特に都市景観の保存に厳しい国が多いので、
建築家の奇抜なデザインを住民が許さないことも多いそうです。

余談が長くなりましたが、

このような状況から、
日本では外観(見た目)の良い建物が多いです。

外観は建築の世界では「ファサード」と言ったりするので、
以降は外観をファサードと書きます。

ファサードはとても大事です。

建物の「顔」なので、ブランド、宣伝効果を期待できます。

ただ、

ファサードは良くて、
そのファサードを支える屋台骨がいい加減だったら、
「ハリボテ」でしかありません。

見た目に騙されてハリボテ建築を購入、賃貸してしまったら、、

・・・恐ろしいですよね。。

まさに、昨年の耐震偽装問題の根底もここにあります。

正直いって、

新築の場合に、ファサードのみでハリボテ建築を見抜くのは困難です。

血行不良で貧弱な体でも、これでもか!というくらい
厚化粧をしてしまうと、一見すると健康そうに見えてしまいます。

なので、

新築の場合は、
完成する前に何度も工事中の現場を見る必要があります。

あとは、図面を必ず見てください。

特に、屋台骨が一目瞭然の「構造図」を見てください。

平面形状が不整形でないか?
などをチェックしたほうがいいでしょう。

L字やコの字型の平面は好ましくはありません。

ただ、当然ながら
ちゃんと設計すればL字でもコの字でも問題はありません。

あと、立面図、断面図も必ず見てください。

建物は出来てしまうと、隣接する建物などに隠れてしまって
大きな道路に面する部分しか見えなくなりがちです。

立面図、断面図で見てもらいたいのは

柱が下階から上階までつながっているか?

柱が途中から斜めに傾斜していないか?

などです。

柱なんだから、下から上までつながっているのが当然だと
思われる人も多いと思いますが、実際はそうでもありません。

「この部屋は柱のない大空間にしたい・・・」
「見た目で凸凹が嫌なので柱をなくしたい・・・」
「法規上、斜線制限や日影制限のために斜めにせざるをえない・・・」
などなど

柱は嫌われ者だったりします。。

見た目で柱を嫌う方には、構造技術者から柱を無くしたり
細くしたり、薄くしたりすることのリスクを十分理解してもらった
うえで、検討することは可能です。
(ちなみに、このような案件の設計は当社ではお断りしてます)

ただ、「斜線制限」や「日影制限」は法規なのでちょっと厄介です。

斜線制限とは、基本的に日当たりなどの採光の確保を
目的に建物の高さを制限するために設けられている法規です。

「日影制限」は読んだままで、やはり日当たりの確保を目的に
建物の高さを制限するものです。

斜線制限には、

・道路斜線制限
・隣地斜線制限
・北側斜線制限

の3種類がありますが、建物の立地条件によって
適用されたり、されなかったりします。

日影制限も同様に適用される地域とされない地域があります。

街を歩いていて、建物をよく見ると

建物がこんな形になっているのをよく見かけると思います。



shasen1.jpg


shasen2.jpg


shasen3.jpg

まさに「斜線制限」によってこんな形になっているのです。

こんな形の建物の屋台骨が健全でしょうか?

健全な訳がありません!

こうなってしまった建物は、
大抵厳しい構造設計を余儀なくされます。

「でも法律なんだからしょうがいじゃん」

と言う方もおられるでしょう。

「日照」が大事なのか。
「安全性」が大事なのか。

・・・

両方大事なのですが、
これについても以前連載した、「一級建築士制度を考える」
でも再三取り上げた「下請けである構造設計者の立場」が
ネックとなってしまって結果的に安全性に疑問のある構造
になるケースも少なくないと思います。

「斜線制限」と「日影制限」の検討は
元請である意匠系設計者が行うのが一般的です。

意匠系設計者は、構造については、法律を満足しないような
要望までいろいろ言ってくるのですが、「斜線制限」や「日影制限」
になると、「法規厳守!」となってしまう人が大多数です。。。

自分で検討して数値として結果がでると、人はそうなるんです。

最近は、「天空率」という斜線制限緩和のための法規もできたのですが、
まだ計算ができないとか、近隣との調整の問題などがあるので
一般的になるまでには普及してません。

「斜線制限」、「日影制限」、「天空率」を含めても
計算自体は、難しいものではないので構造ができる設計者なら
意匠に任せないで、自分で検討して形態の提案をしたほうが
合理的な建物ができると思います。
(検討費用は、成功報酬でちゃんともらってください。。)

・・・

途中から、ちょっと脱線してました。。

いろいろと背景にある問題点がでてきてしまうんです。

とにかく、

新築の場合は、
建設する前から考えないとファサードだけでは分かりにくいです。

今回は、ここまでにします。

次回は、いまブームになりつつある、既存建物を再利用した
リニューアル、リフォーム、コンバージョンなどの建物について
ファサードで建築構造を見分ける注意点を書きたいと思います。

前回のつづきです。

敷地選びにおいて「地盤」を知ることの重要性を前回書きました。

同じ建物を良い地盤と悪い地盤に建設した場合、
良い地盤に建設した建物は、
経験上建設費の10%以上節約できます。

3000万円の住宅で300万円の節約は
めちゃくちゃ大きいですよね。

なので、
敷地を選ぶときに「地盤」の良し悪しを考慮してもらいたいんです。

土地の少ない日本では、地盤よりも優先しなければならないことが
たくさんあるのは分かりますが、その地盤を無視したことによる
しわ寄せは必ず後でやってくるのです。

敷地選びの段階から、設計者に相談するクライアントは少ないと
思いますが、ご自身で調査して判断できそうになければ、
わたしは相談することをおすすめします。

ただ、、
地盤のことがよく分かってない設計者もかなりいますので、
注意してください。

では、
ここから地盤を調べるうえで技術的に必要な知識を書いていきます。

1.敷地の立地条件を調べる。

盆地か、起伏のある土地か、近くに川が流れているか、
過去に農地だった形跡があるかなどを調べます。

盆地の場合:

地盤が粘性土の場合は比較的良好です。
(首都圏の粘性土は関東ローム層という地層の場合が多いです)
ただし、地盤面の標高が低いと大雨のときに
基礎や1階床まで浸水したりする可能性はあります。

起伏のある土地の場合:

敷地内に高低差のある土地の場合は、擁壁を作る必要が
あるので、建設費は高くつきます。
また、傾斜地の場合は地盤調査も最低3箇所はしないと
データの信頼性に欠けます。
よっぽど地盤がよい場合を除いて、起伏のある土地では
ある程度の出費は覚悟する必要があるでしょう。

近くに川が流れている土地の場合:

一般的に川が近くにあると、地盤は良くありません。
地震時に液状化する可能性のある地盤も多いです。
住宅程度でも30mの杭を施工したケースもあります。
立地条件で選ぶのであれば、建設費のアップは
止むを得ません。

過去に農地だった土地の場合:

肥沃な土地は、色や匂いである程度分かります。
黒くて、肥料のように臭い土は農作物には適してますが
建物の敷地としては適していません。
表層が耕されていて締め固まっていないので、
地盤沈下の可能性があります。
ここ数年は、地盤改良で地盤の強度を高める手法が
発達してきましたが、黒い肥沃な土は化学反応が
おき難いのでセメントの硬化が促進されないんです。

2.周辺の建物をよーく見る!

比較的新築が多いのに木造住宅が多ければ、
その敷地周辺の地盤が悪いから軽い建物ばかりに
なっているということも考えられます。
鉄筋コンクリート造の建物があれば壁にひび割れが
ないかなども参考になります。

3.地盤データを見てみる。

役所などで閲覧できる地盤データはおそらく、
標準貫入試験という調査方法による
「土質柱状図(ボーリングデータ)」です。
地盤調査の方法は他にも数種類あるのですが、
煩雑になるのでここでは割愛します。

土質柱状図は以下のようなものです。
jibandata.JPG

折れ線のようなグラフが地盤の深度に対する
地盤の強度(N値といいます)を示しています。

ここで詳細な計算方法をレクチャーしても意味がないと
思いますので、まず視覚的にこの折れ線図を
眺めてください。

もし、
折れ線が深くなってもN値10以下で0になったり
している地盤だと液状化の可能性が高い軟弱地盤です。
折れ線が急降下してるので視覚的にも分かりやすいと
思います。

上図の柱状図の場合は、
住宅程度であれば十分な地盤です。

ただし、
この図の場合は、砂礫(されき)系の地盤なのですが
粘性土の場合は、N値が5程度でも十分地耐力がある
ことになります。
イメージ的に、粘性土はねばりがあって摩擦なども
期待できると思ってもらえば納得できますよね。

N値は粘土か砂かによって数値の意味合いが異なる点は
注意してください。

・・・

結構いろいろ書いてしまったかんじですが(汗)、、
内容を読んでもらえば分かるように難しいことは
ひとつもありません。

ちゃんとした地盤の耐力計算はちょっと面倒ですが、、
それは、あくまでも確認申請書類のためであったり
実はそれほど重要なものではありません。

万が一のための保険のようなものです。

なので、
目視調査やちょっとボーリングデータを見るだけでも
敷地選びの段階では十分です!

上述したような調査を敷地選びの時点でご自身で行って、
幸い地盤が良ければそれから建物の計画をすれば
かなりローコストな住宅が可能になります。

ただ、
地盤が悪そうだなと思ったら、やはり専門家に相談するか
他の敷地を検討するかなどをしたほうがよいと思います。

立地条件を優先して、地盤が悪いことを承知のうえで
建物を計画しても、必ず後々見えない部分に数百万円
を費やすことが悔しくなるんです。。

素敵な家具にお金を使ったほうが、誰でも嬉しいはずです。

素敵な家具を購入するためにも、
ぜひ!「地盤」の調査に興味をもってください。

・・・

・・・建築構造を知らないと、損しちゃいますよ・・・

「知らなきゃ損する建築構造・・・敷地」
おわり

今日の成人式は、良い天気でよかったですね。

新成人のみなさまの今後のご活躍をお祈りするとともに、
当社も全力でバックアップさせていただきます!

さて、

今回は、
「知らなきゃ損する建築構造」の第一回目としまして、

「敷地」

をテーマに建築構造との関係性を取り上げてみます。


「知らなきゃ損する建築構造」

■敷地選びの基準は何ですか?


理想のマイホームを考えるとき、
みなさんは絶対に外せない条件は何ですか?

・一戸建て
・都心
・緑がある
・交通の便がいい
・デザイン
・日当たり
・・・などなどなど・・・

山ほど条件はあると思います。

ですが、
いざ、購入を具体的に検討するときに一番考えるのは、

「コスト」

ですよね。

すべての条件をクリアしようと思ったら
かなりの費用を覚悟しなければならないでしょう。

だれでも、予算を念頭に置きながらも
夢見るマイホームの理想をできるかぎり実現したいと思うでしょう。

コストを考えることは、とても大事なのです。

ですが、、

そんなに大事なコストなのに、
具体的な検討段階でコストにとても大きく影響する事を
見落としている方が大多数なのです。

それは、

「敷地」です。

敷地(土地)の価格は、路線価などで公表されるものもありますが、
その場所の人気や利便性などの相場によっておおまかに決まります。

200万/坪

土地の価格は上記のように表記されたりします。
(1坪はおよそ1.82m×1.82m=3.3平方メートルです)

都心の土地は高いです。
都心から離れて、電車の最寄駅から遠い土地は安くなってきます。

土地の価格は、
まさにみなさんの需要の指標に他なりません。

田園調布に住んでみたい!

と思う人が多いので、田園調布の土地は高いんです。

ここで大事なのは、

「敷地」を検討するうえで見なければならないのは、
土地の価格だけではありません!

大抵の方が見落としているもので
コストに大きく影響するのは、

「地盤」です。

いきなり地盤と言われても、ピンとこないかもしれません。

地盤がコストの何に影響するのか?

技術的な理由を言う前に、まず地盤による失敗例を見てもらうのが
一番興味を持ってもらうために効果があるでしょう。

失敗例1:

墨田区に計画した4階建て住宅だったが、構造検討の結果
敷地の地盤に直接建物をのせる不同沈下の恐れがあったため
30mの杭を地盤に打ち込む必要が生じた。
杭工事分の300万円オーバーがネックとなって、設計変更、
工期変更と大幅変更を余儀なくされた。

失敗例2:

傾斜地に計画した保養所だったが、傾斜地での安全性を
考慮すると基礎を当初の想定よりも深くせざるをえなくなり、
工期が大幅に延びて、竣工時期をずらさざるをえなくなった。
(工期が延びたことで、1000万円近く建設費がアップした)

などなど、他にもたくさんあります。
計画当初段階で運悪く敷地の地盤が悪いと必ずといって
いいほどコスト上の問題が生じるんです。

これを見て、
それじゃ、敷地を選ぶときに地盤情報をどうやって調べるの?
と思う方もおられると思います。

場合によっては30万円ほどの調査費用がかかりますが、
地盤を調べることは可能です。

エンドユーザーには、意外と知られていませんが、
世の中には地盤のエキスパートである「地盤調査会社」
がたくさんあるんです。大きな会社が多いです。

「でも、購入前に調査費用を払うのはねぇ・・・・」と思うのも当然です。

費用をかけなくて、いちばん良いのは、
敷地を管轄する役所で閲覧可能な地盤データを調べるのがいいでしょう。

ただし、
地盤は、その敷地に近いデータでないとあまり有用なデータではないので
参考程度と考えるのが良いでしょう。

これは結果論ではありますが、
敷地選びに失敗して100万円余計に建設コストがかかってしまう場合、
購入前に2箇所の土地を調査して60万円費用がかかったほうが
実はお得だったりします。
(地盤が悪くて建設費がアップしてしまっていたとしても、
設計者もゼネコンも敢えて施主に不安を煽るような発言はしません)

この判断は難しいところですが、
頭の片隅に意識しておくと大損はしないと思います。

では、地盤を調べるときに技術的に注意すべきことはなにか?

それは、また次回書いていきます。

連休中日ですが、今日は昨日の雨が嘘のような良い天気です!

休日を堪能して、
連休明けからの業務にエンジンをかけていきます。

さて、

これからタイトルに書きました、

「知らなきゃ損する建築構造」

と題しまして不定期に連載していきます。

「建築構造=難しい」

というステレオタイプを打ち破るために、
分かりやすく建築構造の設計プロセス、豆知識、
最新技術などを説明していきたいと思います。

建築構造を知らなかったために、無駄な費用を
要した住宅設計例や、建築構造を知っていたから
数千万円も節約できたオフィスビルの設計例など
充実した内容の連載にしていきます!

ご意見ご感想をぜひお寄せください。

よろしくお願いします。