2010年に入り、1月12日にハイチ・2月27日にチリにて大地震が発生し大きな被害をもたらしました。
今回の2つの地震の規模は、ハイチがマグニチュード7.0、チリが8.8と、チリの方がはるかに大きかったにもかかわらず、死者数を見るとハイチが約23万人(2月時点)に対しチリが約800人(3月時点)であり、ハイチの方が遥かに多大な被害という結果となりました。
以下は今回の地震の比較です。
ハイチ チリ
人口密度 346人/km2 22人/km2
震源地?首都までの距離 25km 330km
震源の深さ 13km 35km
地震の種類 直下型 プレート境界型
ここまで被害の差が出た要因として考えられるものは、人口密度や震源地からの距離の違いが挙げられますが最も大きい理由は、日本と同じ「地震国」であるチリが、厳格な耐震基準を定めているという点であると言えます。
実際に、深刻な被害となったハイチでは十分な耐震基準もなく、築浅のRC造の建物も大きな被害を受け、さらに貧困のため鉄筋を使った構造物自体が少なく、建物が多数の死者を生み出すという状況となりました。
一方のチリは、過去にマグニチュード9.5という世界の観測史上最大の地震を経験したことから、耐震基準や防災訓練にみられる様に地震に対する備えの意識も高く、倒壊した建物も古くからのブロック積み住宅や教会にとどまり、比較的新しいRC造のマンションのような建物の倒壊はほとんどないという結果でした。
死者の多くも津波によるものがほとんどで、耐震基準が定められていたことで被害を最小限に食い止めたとも言えるでしょう。
建物の倒壊が起これば死者数の増大につながり、住民のみならず隣接する建物の居住者や通行人にも被害が及び、そして倒壊による火災の発生等も懸念され、またハイチでも見られた様に、このような状況に陥った場合に起こる食料・生活物資不足、略奪等治安の悪化も含め、甚大な被害が予想されます。
このような惨事を防ぎ、国民の生命と財産を守ることが構造設計・耐震診断の目的であり、こういった有事の際にあらためてその重要性が再認識されます。
大地震が起こらないことを祈りますが、我が国も地震国である以上、普段から大地震が来ることを想定し、今回のような他国の例からも積極的に学び、十分な備えをする必要があります。



