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建築全般の最近のブログ記事

いつのまにか梅雨があけました。
毎日蒸し暑いですね。

体調には気をつけて頑張っていきましょう!

さて、

6月20日に建築基準法等の法改正が行われて
現在建築設計業界は混乱している真っ最中です。

A歯氏の事件による影響で構造設計に関する事項は
得に大改正となっています。

確認申請に提出する書類の基準などが曖昧なのと
構造計算基準の要旨がまとまっておらず、基準要項は年末以降
に書籍になるというはちゃめちゃな状態での法改正です。

構造設計者は、作業増分の費用を割り増しできずに
設計を強いられているケースもあるようです。

弊社も構造設計をするので、問い合わせはいろいろあるのですが、
お断りせざるを得ない案件ばかりなので悲しいですが悪役に徹しています。。

困ったものです。

なぜ、こんなに混乱しているのでしょう?

それは間違いなくこれまでの業務体系に無理があったからです。

その無理を今までの確認申請という制度は許容できる(せざるを得ない)
ものだったので、何とかなっていただけなんです。

今回の法改正で、確認申請が厳格化されたことは
無茶しすぎていた業界を正す意味では良いのですが、
確認申請に設計が制限されすぎる部分で無理のある改正です。

誰でも、
「作業は増えるけど、報酬が増えるかは分からないからよろしくね!」
なんていきなり言われて黙っているわけがないですよね。
全産業の業種別で見ても改正前でさえ建築は最下位になることもある
低報酬の業界なのに、それに追い討ちをかけられたような感じです。

建築に関わりの無い方々はご存知ないかもしれませんが、
今回の法改正はそんな感じなんです。

日本版ホワイトカラーエグゼンプションの法案が出たとき、
残業代ゼロ法案という解釈がされてしまって、
業種を問わず労働組合が猛反発して法案は白紙に戻りました。

建築基準法等の改正については、実態を知っている建築業界の人間だけが
猛反発しましたが、耐震偽装問題の再発防止という名目で一般を
見方に付けて国が強引に押し切った感のある法改正です。

そんなわけで、
強引ながらも施行された法改正ですが、
今まで通り設計をしていたら、間違いなく設計者は生活できませんので、
いろいろとこれまでの悪い慣習は変えなければなりません。

そこで、やっと今回のテーマ。。

「設計期間」についてどのように変わらなければならないのか?
を考えます。

これまでの建築設計の流れはおおまかに、

クライアントが設計者に依頼

基本設計、提案
↓OK
設計契約

確認申請、実施設計

許可

建築着工

となります。

今回の法改正で問題となるのは、「確認申請」です。

確認申請とは、
設計図書の法規チェック、構造チェック、設備チェックなどをして
問題ない建物かどうかを審査機関(役所など)が審査するものです。

改正前は、A歯事件でもご存知のように
確認申請とは名ばかりの「ザル」的審査だったので
設計業務に占める確認申請のウェイトはとても低かったのです。
それを悪用した設計者も少なからずいたので問題になって
今回の改正で確認申請が厳格化されました。

厳格化されたことで、図面の不適合などは申請のやり直しが
義務付けられるようになりました。

不適合なら、当然じゃんと思う方もいるかもしれませんが、
これにはいろいろと根が深い問題が多々あります。。

以前からブログでも取り上げているので詳しくは
バックナンバーをご覧頂きたいのですが、
設計者には、意匠、構造、設備と三者が関わります。
一般的に設計者というと意匠設計者のことを呼んでいます。
(設計者全体で意匠設計者が9割ほどを占めているので)

クライアントは意匠設計者に設計を依頼するのですが、
意匠設計者は構造設計や設備設計はできません。
なので、意匠設計者が設計契約を得た時点で(もしくはその前から)
構造設計や設備設計に外注をする手順になります。

それから、構造や設備を踏まえて意匠設計を修正して
法に適合して、構造的にも安全で、機能を兼ね備えた
設計を行っていくのですが、これはまともにやっていると
とんでもない時間がかかる作業です。

なので、改正前の設計のやり方は、
確認申請時点では、設計の整合性が取れていなくても
チェックが甘いから許可が下りる可能性が高いので
着工してから、施工者も交えて設計の整合性を取っていく
というやり方が大半でした。

そのほうが、実際に作られる建築に対して時間を割くことが
できるのでメリットはあったと思います。

しかし、法改正で確認申請の段階で意匠、構造、設備とも
不整合なく申請図書でそのまま施工できるような精度を
要求されるようになりました。

これは、これまでに行われてきた建築業界の慣習を考えると
極めて不合理な要求なのです。

それは、建設業界の体質にも問題がありますが、
確認申請の段階で施工者を決めて作り方まで考えないと
設計というのは、施工者の意見を取り入れていかないと
良い建物はできないんです。

でも、確認申請で確認済証をもらえなければ建築できないので
順序がひっくり返ってしまいますが、やむを得ずそのような
手順で設計を行うと、

クライアントが設計者に依頼

基本設計、提案
↓OK
設計契約

構造、設備、施工で設計調整

見積り
↓OK
確認申請、実施設計

許可

建築着工

という感じで、着工までの期間が長くなります。
期間としては、今までの見積りまでの期間と同じとすると
2倍以上の期間は必要になると思います。
これまた、建設業界の悪い体質の一つですが、、
同じ設計図書でも建設会社の見積り金額は会社によって
まちまちです。

同じ建物でも、建設会社によって安くもなり、高くもなります。
根拠はよく分かりません・・・

なので、設計が完成してだいたい建設会社数社に見積り依頼をして
建設会社を選定するのがこれまでのやり方でした。

でも、これからは折角確認済証を取っても、施工会社によっては
見積りで予算オーバーしてしまったりして、設計変更を余儀なくされると
再度また確認申請を行う必要があるのです。

建物を作るまでに、とんでもなく時間がかかりすぎると
クライアントの気変わりなども増えて、もっと設計変更作業などで
時間がかかってしまう恐れもあるような気がしています。。。

今回はここまでにします。
次回は設計報酬について書いてみます。

新潟地震

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新潟でまた震度6強の大きな地震です。
被害の全容はまだつかめていないようです。。
(横浜もゆらゆらとかなり長く揺れました・・)

中越地震のときは震度6強クラスの揺れが三度も起きて、
それだけでも確立的にはあり得ないくらいなのに
3年しか経ってない今日また大地震が起きるとは・・・

自然の前では、確立なんて無意味なんですね。

現在の建築基準法では、
再現期待値50年程度(50年に一回起きる)の地震に対して
建物が損傷しても崩壊させない設計を行うことになっています。

震度6強はまさしく再現期待値50年の地震なので、
新潟では3年で4回分も大地震に遭遇してしまいました。

震源が浅い直下型地震に関しては、再現期待値の考え方は
あまり意味を成さないことを踏まえて今後の建物の安全性に
対する制度を考え直していく必要があるかもしれません。

耐震診断のすすめ

| コメント(0)

先週、能登で大地震がありました。

日が経過するにつれて
被害状況が拡大していくのはテレビを通じて見ていても
つらいものがありますね。。

日本は4つものプレートの上にある国です。
大地震の発生確率は、欧米と比較して100倍とも
言われています。

最近は、地震が各地で多発しているので
プレートが活動期に入ったという情報も言われています。

首都圏で能登クラスの地震が起きたら、
その被害は想像を遥かに超えたものになると思われます。

自然の猛威を避けることはできませんので、
発生したときの対処と、日ごろからの心構えが大事です。

とは言っても、、
地震に対する心構えが日ごろからできている方は
少ないでしょう。
(耐震偽装問題もすでに風化した感がありますしね・・)

瓦屋根などの重たい屋根の古い家にお住まいの方は、
耐震診断、補強を強くおすすめ致します。

行政によっては、補助金制度がありますので
検討してほしいと思います。

・・・

最近のニュースで、
能登の地震波の加速度が神戸以上だったと報道されました。
近年日本で発生した地震波と比較すると、

神戸:891ガル
鳥取西部:1584ガル
新潟中越:2515ガル
能登:945ガル

となるそうです。

以前、当ブログでも取り上げましたが、
加速度は被害には比例しません。

なので、地震波の持つ特性をちゃんとデータから解析
してみないと被害レベルは何とも言えません。

あと、
比較的新しい地震観測計はかなり精度が良いらしく、
観測加速度が大きくなる傾向があるそうです。

個人的に興味があるので、
もうちょっと仕事が落ち着いたら神奈川大学で
地震波解析をしてみようかな・・・と思ってます。

いつになるか分かりませんが、、
結果が出たらまたブログでご報告します。

・・・

悪戯に不安を煽ってもしょうがないのですが、、
世間の雰囲気を客観的に見ていると、
ちょっと地震に無関心すぎるのでは??と感じています。

今地震が起きても、確立的にはなにも不思議はありません。

今地震が起きれば、明日から生活が180度変わってしまう
方が数万人(少なくとも・・)はいるはずです。

幸い1回目の地震で倒壊を間逃れて、非難できたとしても
損傷を受けた建物には、継続して住むことはできません。
(余震での倒壊の恐れがあるので)

1日で命の次に大事な資産を失う可能性があるんです。

世界第2位の経済大国は、
そんな不安定な地盤のうえに成立しています。

「足元」をしっかり見て、近い将来に備えましょう。

設備設計について

| コメント(1)

寒いですね。。
今日は、真冬並みの寒さだそうです。
冬本番ってかんじです。
体だけは、気をつけていきましょう!

さて、

これまで、一級建築士制度の問題点についていろいろと私見を書いてきました。
ひと言に設計者と言っても、
意匠設計
構造設計
設備設計
と、各専門分野ごとに分業化されていて、設計者全体の8割〜9割を占めるのは、
意匠設計者であることはこれまでにくどく書いてきました。

意匠設計者は、設計全体を統括する立場であり、設計業務上での元請けとなる
ことが多いです。

構造設計者は、意匠設計者からの依頼を受けて、意匠設計者のデザインした建物の
構造安全性の検証をします。

建物の構造骨組みは、人に例えれば骨や筋肉に該当することも書きました。

なので、私見として構造設計は建築設計をするうえで理解していることが大前提である
ということも書きました。

ここで、

設備設計については、専門外とういこともありましたが言及していませんでしたので、
経験の範囲でちょっと書いておこうと思います。

・・・

建築設備(給排水、電気、ガス、空調、など)は、
人に例えれば機能を司る臓器や神経に例えられます。

臓器や神経がなければ、人は生きられません。

なので、建物にとって設備は必要不可欠なものです。

建物が不便なく機能するための、給排水圧力、必要電力、必要換気量などを
検討するわけです。

蛇口をひねって、水が出なかったら困りますよね?
テレビを見ているときに、キッチンで電子レンジを使ったらブレーカーが落ちて
真っ暗になったら困りますよね?
会議室で長時間打ち合わせをしていて、頭痛がしたら困りますよね?
真冬に暖房をつけても部屋がぜんぜん暖まらなかったら困りますよね?

上記したようなことが起きないように、設備設計者の検討が必要なのです。

さて、

設備設計者は、上記したように検討する項目が多岐にわたるので
給排水担当、電気担当、空調担当・・のように設備設計者の中でも分業化
されていることが一般的だと思います。
これら全てをひとりで検討して設計できる人は、スーパーマンに近い存在です。
(住宅程度の小規模なものであれば、大抵一人で設計すると思います)

さらに各分野の中でも、

給排水(給水、下水)では、図面作成担当、水道局申請担当(水道局の申請は
各地域ごとに仕様がばらばらなので)などに細分化されていることが多いですし、

電気(照明、弱電、ケーブルテレビ、LAN、BS/CSなどなど)は、とにかく
日進月歩で技術革新が行われる分野なので、商品ごとに知識を深めていく
必要があるので、電気の中でも得意とする分野に各担当がいることが多いですし、

空調も、規模によっては数人で担当することもあると思います。

つまり、

設備設計者と一言にいっても、これまた多岐にわたる訳なのです。。

ちなみに、構造設計者はよっぽど建物規模が大きくない限りは、
1人で担当することが多いと思います。
(構造計算を設計者がして、オペレータに指示を出して図面を書いてもらうことも
多いですが、オペレータは大抵、設計の内容まで把握してません)

ここで問題となるのは、、

「責任の分散」ということが挙げられます。

つまり、

設備設計者の場合、設備設計業務そのものが細分化されているので、
誰が設備設計の統括責任者なのか?
ということが、明確ではないと思っています。

前回書きました、「設備設計一級建築士」という資格ができたときに、
その設備設計一級建築士がどの分野のエキスパートなのか?
ということは大きな問題になると思います。

上述したように、設備設計分野を全て把握できている人は極めて少ないのと、
それに加えて、設備設計者で一級建築士を取得している方はさらに少ないのです。

これまでは、設備設計事務所の代表が(設備設計一級建築士とは限りません。
また、設備設計者であるとも限りません。)、事務所の責任者という意味で
設計責任を負っていたとは思いますが、法改正後はそういう訳にはいかないと
思われます。

そもそも、設備設計者には大学等で電気、機械系の学部を卒業した方も多いので、
建築自体が「畑違い」の方も結構いるのです。
(最近は、意匠系志望の若者に文系でも建築の勉強ができる学部を作っている
大学も多いので、個人的にはこの傾向は好ましくないのでは?と思ってます)

そういう意味では、
耐震偽装事件の飛び火的に、「設備設計一級建築士」なるものが作られますが、
設備設計業務の実態を考えると、かなり無理がある制度になると思います。

わたしの経験上では、
設備設計者で、設計図面を見て建物の状況を把握できる人はかなり少ないです。

建物の状況とは、
梁の大きさ、鉄筋の混み具合、スリーブを設けられる場所、だめな場所の判断、
耐震壁にいれるCD管の限度、天井の懐寸法、建築の納まり、などなど・・・
を意味します。

構造設計者は、現場に検査のためによく行きますが、
設備設計者が、配管状況の検査に現場にきているところを見たのはほとんどありません。

なので、現場では、
構造設計者がスラブ(床)の配筋検査をした後に、設備屋さんが配管をするために
鉄筋をばらして配管をして、鉄筋相互の結束をしないでめちゃくちゃになっていたりすることも
少なくないです。

あと、コンクリートを打設したあとに、配管が入らないという理由でコンクリートをハツリ飛ばし
たりしている現場も何度か経験しました。
(ハツリ飛ばすの意味は・・・ご想像にお任せします(苦笑)。。)
当然ながら、当該箇所の補強検討をして指示をしましたが・・・無料で。。

設備設計に関しては、設備設計者が設計図書を作成しますが、
現場では、ゼネコン(またはサブコン)が設備設計の監理をすることが多いのです。

実際そうしないと、
建築の納まりまで配慮した設備計画は設計段階ではなされないことが多いので、
天井からダクトが飛び出してしまったりして、建築の美観を損ねる原因になって
しまうのです。
(必要以上に美観を意識すると、構造安全性を脅かす原因にもなることもあります。)

ほかにも、いろいろと問題はあると思ってます。

でも巷では、法改正後に数少ない設備設計一級建築士の需要が高まるので、
設備設計一級建築士の年収は倍増するだろう、、などと言われています。。

個人的には、
設備設計者の存在は建物を設計するうえで必要不可欠だと思うのですが、
建築士の資格と混同して考える必要はないと思っています。

これについても、いろいろとご意見を聞いてみたいところです。
コメントお待ちしてます。

・・・

今回は、設備設計について書いてみました。

設備設計っていうのもいろいろあるんだなぁ・・・程度に思ってもらえれば幸いです。

本来は、

設計を統括する立場である設計者が(現状は意匠設計者)、
構造も設備も完璧ではないにしても、把握する必要があることだと思います。

そういう意識を持った意匠設計者が世の中にどのくらいいるのでしょう??
・・・
まぁ、極めて少ないのは経験上確かです。

長くなりました。
今回は以上です。

12月になりました。
今年は、ちょっと例年より寒いなぁと感じます(年のせいか??)。
忘年会シーズン突入ですが、体を一番に無理せずにいきましょう!

さて、

11月30日に建築士法、建築基準法、建設業法の改正法案が可決されました。
(詳細はこちらからどうぞ)

正直言って、
「ザル」に近い改正法案だと思います。

当サイトでも、これまでに一級建築士制度の問題についてはたくさんふれてきました。
(バックナンバーはこちらからどうぞ)
「問題の本質はそこではない!」
というのが、今ままでブログで書いてきたわたしの見解です。

特に、今回の改正で問題になるのは、
「構造設計一級建築士(設備設計一級建築士)」
という新たな資格の設置に関してです。

一級建築士取得後5年間の専門業務の実務経験をしたものが、
講習を受けることで取得できる資格だそうです。

今回の法改正で、一定規模以上の建物の構造設計(設備設計)には、
構造設計(設備設計)一級建築士がチェックする義務が設けられました。

これをうけて、某有力建築士関連団体で言われているのは、
「一級建築士取得後5年経過している建築家は講習を受ければ
構造設計一級建築士になれるので、従来通りの仕事ができる」
ということだそうです。。

簡単にいえば、
「構造は分からなくても、構造設計一級建築士になれちゃうから、
従来通り安く下請けしてくれる構造設計者に仕事は任せてしまおう」
ということに繋がります。

これだと、法改正は世間に対するカモフラージュにしかなりません。

これまでも、くどく述べてきたように、
某有力建築士関連団体に所属している大多数(8割〜9割)が、
「意匠系設計者」です。

意匠系設計者は、これまでの仕事の受注体系を変えられるのは、
少なからず不利益を被ることになるので、既得権益を守るのに必死なのでしょう。
(既得権益とは言っても、建築業界のベースとなる賃金が低いので
尚更必死なのだと思いますが、下請けである構造(設備)設計者は
もっと不当に低い賃金体系でこれまでずっと仕事をしてきているのです)

構造に弱い意匠系設計事務所にもたくさん一級建築士はいます。
5年以上の実務経験があれば、構造設計一級建築士にはなれるので、
自分達に最終チェック権利があれば、安く請け負う構造設計者に
従来通り仕事を投げられるわけです。

そういう意味では、
構造設計者にもプライドを持ってもらって、安く請け負わないように
してもらいたいものですが、、実態は安値合戦をし始める人たちに
仕事が集中してくると思います。
(構造設計に対するこの価値観が、何よりも一番の問題なのですが・・)

意匠設計者からの下請けではなく、クライアントが構造設計者に直接
仕事を依頼するのが一番大切なのですが、
クライアントは、構造設計に対する理解がほとんどないので、
結局は、仕事を依頼した意匠設計者からの推薦などという形になって
しまうと思われます。
意匠設計者は、安い構造設計者を選んだことはクライアントには言いません。
(デベロッパーがクライアントの場合は、別ですが・・)

この問題の解決は、時間がかかるのですが、
時間が経過するにつれて、問題意識は必ず風化してしまいます。

すべてが100%解決する方法は、どうやってもありません。

ただ、

少しでも良くなる方法として、「SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)」
方式は有効ではないかと思います。

SNSは、mixi(ミクシィ)などが有名です。

意匠設計者の中にも、現状を良くしたいと考えている設計者はいますので、
匿名性のある相互監視ができるシステムは有効だと思うのです。

SNS管理責任者

ユーザー
↓ 紹介
ユーザー
↓ 紹介
ユーザー

・・・

このようにSNSに参加する設計者に関しては、
紹介者にも2次的な責任のような感覚が生まれます。

たとえば、Aさんの紹介でBさんがSNSに参加した場合。

Bさん:「Aさんの紹介で参加したので、Aさんに恥じをかかせてはいけない!」
Aさん:「Bさんなら自信を持って紹介できる人物だ!」

といった、ある意味相互監視の意識が生まれるのです。
本当にミクシィは良くできてますよ(わたしも利用してます)。。

これは、設計者間に限らず、施工者(ゼネコン、工務店)などにも
参加してもらえば、
「あの設計者は良くない」
「あのゼネコンは手抜きが多い」
という発言も匿名性のもとにできるようになります。
(誹謗中傷があった場合は、管理者が発信元を特定できます)

このSNSを利用が普及すれば、
SNSに参加していない設計者(施工者)に信用がなくなり、
一般も、SNSの内容は閲覧できるようにすればとても良いのでは?
と思います。

ちょっと、思いつきに近い部分もあるので、、
もうちょっと深く考える必要はありますが、
いずれにしても現状の法改正では、ザルなのです!!

今回の内容は、また近いうちに取り上げます。

以上です。

これまでに、計4回「設計者とクライアントの関係」というテーマで連載をしてきました。
今回は、連載の最終回として公共施設編を書きます。




公共施設のクライアントは、都道府県、市などの地方公共団体になります。

わたし自身は、地方公共団体のお仕事(俗に「役所物件」と言ったりします)は
担当したことはありません。

なので、手伝った経験や聞いた話しなどを主体に書きます。

まず、役所物件の仕事は、入札に参加することから始まることが大半です。

入札にも参加資格があったりして、名目上は実績重視と聞きますが、
実態はドロドロした内部取引もあると思われます。。

役所を糾弾してもしょうがないので、このへんで(笑)。

入札に参加して、値入をして、実績等を査定されて仕事を落札します。

さて、
ここからは、民間がクライアントの場合と比べてとても時間がかかるのが通例です。

設計者は、役所の担当者と打ち合わせをして仕事の進め方を決めますが、
役所は重層構造なので、

担当者

上司

上司の上司

上司の上司の上司(このくらいまではたいていあるでしょう)

xx長

市長、知事など

官庁、省庁

大臣

このような過程で、数ヶ月くらいかかって予算に関する判子をもらう・・
なんてことはざらでしょう。

こんな仕事の流れがたくさんあるので、中々先に進まないのです。

役所物件を受注した設計事務所は、いつ動くか分からない仕事に対して
人員をある程度確保しておかないといけないことになります。

そういう意味で、余裕のない設計事務所が受注すると危険です。

役所物件は、民間での常識が通用しない進み方をすることも多々あります。

設計が終わって、確認申請が受理されて、いよいよ着工!・・・
で現場事務所を作ったら、仕事が中断。。。

理由は、予算がおりなくなった。。
なんてことも、結構多いようです。

街中で仮設事務所がいつまでも放置されていたら、その可能性が高いです。

理由なんて、考えてもしょうがないので(苦笑)、あきらめるしかない世界です。

民間だったら損害賠償問題ですけどね。。

このような問題がなく、仕事が進む場合は設計料が叩かれるようなこともないので、
比較的良いお仕事の部類になると思います。

ただし、役所がクライアントなので、
工事途中の検査がやたら多かったり、
融通が利かなくて、やり直しが多く発生したり、
なかなか疲れる部分も多いと思います。

以前、ブログでも取り上げましたが、

建築基準法は、建築業界の実態から乖離している部分が多くあります。
民間の仕事であれば、基準法の効率の悪い部分を考慮しない金額で
工事は行われています。
実際問題として、
建築基準法を守ることでクオリティが落ちる部分というのも実際はあります。

このあたりは、実務者の意見を取り入れた改正等が行われる必要があるでしょう。

ですが、

役所は、そういう訳にはいきません。
法の番人なので、効率が良かろうが、悪かろうが、法律通りに指示をするのです
(稀に、設計経験者の方で融通の利く方もいますが)。

民間は、それも含めて覚悟の上で仕事を受注していると思います。

しかし、
仕事の種類によっては、その効率の悪さが命取りになることもあります。

新潟の朱鷺メッセで歩道橋が落橋した事故は、その良い例だと思います。

詳細は、まだ裁判中だと思いますので、控えますが、
難易度の高い構造物を建設するのに、適切でない受注体系や工程が
多々ありました。

地元の設計事務所や建設会社を使うために、実際に設計した事務所に
監理をさせなかったり、難易度の高い構造物の建設経験の浅い地元ゼネコンを
使ったり、発注者側の都合による問題がいろいろありました。

お役所というのは、意思決定について担当者が分散していてある意味責任転嫁
しやすい構造になってます。
起きた問題を、ある特定の担当者一人を責めても無駄になるようにできています。
(ある意味、読みにくい法文も責任逃れに近いものです・・)

この点は、民間では理解できない部分ながら、
受注する設計者としては、議事録を詳細に取ったり、決定事項に関する責任者の
書面をその都度要求するなど、十分に注意したい部分だと思います。
とはいえ、クライアントなので、失礼のない範囲で・・となるのが、難しいところですが。。

個人的に、

役所がクライアントとなる仕事は、
年度末の予算調整がみえみえだったりすると、エンドユーザーの顔が見えないので、
ちょっと、やる気が出ないと思います。。

売上は大事ですけど、設計者としてのプライドは捨てたくないです。

役所の仕事は、全体的にドライなイメージが強いので、
もっと血の通った仕事の目的を持って、進めてもらいたいと思います。




以上です。

「設計者とクライアントの関係」の連載はこれで終了です。

この連載を通じて伝えたかったのは、

仕事の力関係上、
一番上流にいるクライアントの姿勢で仕事の質の大部分が決まる!!
とういことです。

「建築は素人だから、起きた問題は設計者やゼネコンの責任・・・」

というのは、間違っています。

クライアントが出した要望を、設計者やゼネコンが「NO」と言える仕事上の関係性が
できているかどうか?はとても大事なことです。

「NO」ばかり言うのは良くありませんが、「YES」ばかりの設計者やゼネコンだとしたら、
逆に疑うくらいで丁度良いと思います。

設計者もゼネコンも、クライアントに良く思われるために少々無理をしてでも頑張ってしまう
傾向があるのです。

その無理の積み重ねが、「耐震偽装」を産み出した根底にあるのは間違いありません。

クライアント側にも、建築に興味を持ってよく勉強してもらう必要があると思います。

様々な要望の片隅にでもよいので、「構造安全性」をちゃんと意識してくださいね(笑)。

前回は、クライアントが不動産会社(デベロッパーなど)の場合について私見を書きました。

今回は、クライアントが法人(企業)となるオフィスビルの場合について書いてみます。
(オフィスビルもデベロッパーがクライアントであるケースがありますが、今回は除きます)




設計者にとって、クライアントが企業となるような仕事はチャンスだと思います。

純粋に設計料のパーセンテージが比較的良いということもありますが、リピーターになってもらえる可能性があるからです。

企業には、従業員の方がいますから、新築の相談などの2次的な仕事の可能性も増大します。

企業を主なクライアントにできた設計事務所は、それだけでもかなり将来的に事務所経営が
とても楽になると思います(仕事は大変だと思いますが)。

当然ながら、企業側も自社ビルなどの設計を任せるのですから、設計者の選別の目も厳しいです。

なので、下手な設計をしてしまえば多額の損害賠償問題にまで発展することなどもあります。

ただ、
これは仕事をするうえでは、設計に限らず当然の責任なので、そのリスクを恐れて仕事を断るようなことはないでしょう。

設計者にとって、企業から声をかけてもらえることは名誉なことなのです。

しかし、

当然ながら、問題点もあります。

建築と全く関係のない企業がクライアントの場合です。

建築に対する知識があまりない企業だと、設計者任せになってしまいすぎて
後々のクレームなどが多く発生するのです。

上場企業などの大企業では、ビル管理部門のような建築専門の方もいることが多いですが、
それでも設計を専業としている訳ではないので、クレームはあります。
(逆に、設計経験者の方の場合は、ご自分の好みがあったりして、仕事がなかなか進まないこともありました・・・)

設計者側にしてみれば、設計の過程で随時プレゼンをして仕事を進めているつもりでも、
企業側がそのプレゼンのみでは完全に理解できてないことが大半でしょう。

なので、建設中での設計変更などは住宅、マンション同様に結構あります。

ただ、わたしの経験上では、企業の場合は変更設計料が支払われることが多いと思います。

まあ、自社ビルなどを建設できる企業ですから、変更設計料程度は問題ないくらいの金額に
なってしまうんでしょうかね。。すごいですね・・・
(マンションの場合だけ、なぜ設計料がシビアなのでしょう??)

このように、企業がクライアントの場合は、設計者にとってのデメリットはほとんどないので、
社運をかけて仕事に取り組むことが多いでしょう。

では、企業はどのような設計者に仕事を依頼するのでしょう?

コンペ形式で、たくさんの設計者から案を選別することが一番多いと思います。

あとは、設計者と企業の偉い方が知り合いであったりすることも多いです。
(有名建築家は、血筋の良い方々も結構いらっしゃるようです。)

あとは、企業の方が雑誌等を見て直接設計者に依頼してくるケースも多少あります。


つまり、
普通に仕事をしていても、企業からの仕事の依頼はなかなかもらえるものではないと思われます。

実績を積んで、雑誌等でも露出して、メディアに取り上げられるような設計ができないと、
企業には相手にしてもらえないと思います。

以前、ブログで取り上げましたが、
メディアに取り上げられる設計・・・という意味は、良い意味でも悪い意味でもあります(バックナンバーはこちらから)。

悪い意味でのメディアに取り上げられる設計が、運よく企業の目に留まって仕事につながったとしても、実際に良い設計ができなければ、まちがいなく企業からのクレームとなって返ってくるだけだと思います。

そういう意味でも、
クライアントが企業となる場合は、設計者にとっての本当の力量を試される機会であると思われます。

企業にしてみれば、自社ビルは宣伝効果が大きいので、ブランドを求めて有名建築家に仕事を依頼することも多いと思います。

企業との仕事に失敗した有名建築家の話もいろいろ知っていますが、、ここでは控えます(笑)。

以前からブログで取り上げてきていますが、
有名建築家とはなんぞや??ということから、世間一般の常識が変わって欲しいと個人的には思ってます。

無名の設計者でも、素晴らしい設計をできる人はたくさんいるんです。

「無名」である理由が、その人個人の事情によるものであればしょうがないですが、
報酬が低いことが原因であったり、偏ったメディアの取り上げ方が原因であったりすることが、少なくないと感じます。

純粋に、設計の能力に対する評価がされる世の中になってほしいと思います。

そして、企業の方にも良い設計のオフィスで仕事をしてもらって、日本経済を元気にしてもらいたいと思います。

当社も頑張ります!

以上です。

ここからが、ようやく本題です。

不動産会社(デベロッパー)は、建設業界の最も川上に位置する業界です。

上場企業も多いですし、テレビで不動産会社のCMを見ない日はないくらいでしょう。

駅前には、不動産(仲介)業者が数多く店舗を連ねていますよね。

あれだけ競争が激しくても、賃料の高いテナントを借りても、経営が成立しているのです。

不動産関連業務とは、”そういうこと”が成り立つビジネスなのです。。

マンションの計画には、
立案、企画、設計、建設、販売、保守などいろいろあります。

ケースによって違いますが、
設計者は企画・設計に携わることが多いです。

有名な不動産会社では設計部を持っている会社も多いはずですが、
マンションの設計に関しては外注するケースが多いと思います。

優れた設計者に任せたほうが、よいプランができるという面もあると思いますが、

基本的に、安いから外注しているという面がかなりあると思われます。

・・・

マンションの設計料の相場は、オフィスビルや住宅などと比較すると破格に安いです。

建設費の2〜3%程度が設計料となることが多いです。
(オフィスビルは5〜6%、住宅は10%程度が多いでしょう)

同じようなプランの階が積み重なっていくことが多いので、
このような設計料になるのかもしれませんが、最近は各住戸で
プランの異なるようなデザイナーズマンション系のものでも設計料の相場は同じです。

外注したほうが、設計変更などに対して「元請けと下請けの力関係」を発揮できるのも
かなりのメリットになるはずです。

マンションで設計変更料をすべて請求できれば決して安い仕事にはならないのです。

・・・

デベロッパー:「このタイプのプランの人気がないから、変更します。」

設計者:「え?もう、確認申請提出してますが・・・。」

デベロッパー:「変更申請で対応してください。」

設計者:「・・・はあ。。」

デベロッパー:「このプランの開口部を大きくして、キッチンをこっちに動かして・・・」

設計者:「え?ここ耐震壁なので開口を大きくすると構造に影響します。」

デベロッパー:「しょうがないので、なんとかしてください。」

設計者:「・・・構造に相談してみないとどのくらい時間がかかるか分かりません。」

デベロッパー:「着工日は変えられませんからね。」

設計者:「・・・そんなぁ。。。」

これは、設計者とデベロッパーとのある会話の一部抜粋です。

似たような会話をしたことある設計者は、世の中に何人いるでしょう??(苦笑)

もちろん、
この変更に対して、変更設計料が支払われることはわたしの経験上ほとんどありません。

ちなみに、構造設計料は設計料の10〜15%程度が相場です。

構造設計の場合は、プランが同じであれば設計が簡単になるということはありません。

逆に、階数が高くなればなるほど構造計算の難易度が上がるので、
最近の高層化されているマンションの状況から考えると、設計料の相場は技術内容と
反比例して安くなっているものと思われます。

以前ブログでも書きましたが、

特に構造設計については、制度などで、工事金額に対するパーセンテージで最低報酬額を
定めてないと、設計料が安くなれば構造設計料も安くなるという矛盾がでてきます。

耐震偽装で一躍有名になったA氏は、年収が2000万円だったと報道されていました。

年収2000万円という数字は確かにすごい金額ですが、ちょっと考えてください。

年間100棟近い物件を設計していた人です(偽造していましたが)。

しかも、ほとんどの物件が10階建てクラスの中層物件です。

一人で構造設計しているとしたら、一般的には年間5〜10棟がいいところです。

つまり、A氏は通常の10倍以上の物件をこなしていたわけです。

それで、年収2000万円ならば、逆に2000万円”しか”稼いでいないのです。

一般程度に年間10棟構造設計していたら、簡単にいえば年収200万円未満です。

一棟あたり20万円の構造設計料では、普通はマンションの基礎だけしか設計できません。。

その構造設計料が安すぎるということに疑問を持たない、ゼネコンや不動産会社も異常です。

いかに、構造設計という職業が「ブラックボックス」化されていて、
軽視されてきたのかということが理解して頂けるのではないでしょうか?

2000?程度のマンションだと、構造設計料は150万円くらいが現在の相場です。

150万円だと、ちょっとしたホームページ制作費のほうがよっぽど高いです。
(現在のホームページ制作費は高すぎると思ってますが・・・)

ホームページの制作ミスで人命は失われませんが、
構造設計に致命的なミスがあれば、
2000?のマンションで毎日生活している50〜80人もの人命を脅かすことになるのです。

・・・

技術料というものは、視覚的に分かるか、分からないかというだけで、
こんなにも差がつくものか・・・と実感してます。。

・・・

マンションの設計料がいつからこんなに安くなったのでしょう?

それは、やはりバブル崩壊後の長引いた大不況の頃からだと思います。

仕事がないから、安くても仕事を請けざるを得ない状況が長く続いた結果だと思います。

不動産会社のような川上企業は、現在の景気回復の恩恵を受けている企業の一つです。

それでも、設計料はまだ回復していません。

これは、建築業界に関わらずすべての業界について言えることです。

現在の大手企業の業績回復は、人件費削減、下請け叩きの元に成立していることは、
疑うことのない事実です。

いわゆる、「格差社会」というやつです。

バブル崩壊

不動産価格の下落

不動産の不良債権化

不動産所有企業(銀行含む)が痛手

国が税金を投入して銀行を保護

銀行が大手企業の債権放棄

大手企業が最悪期脱出

大手企業がリストラ等で人件費削減

大手企業が業績回復

好景気・・・

こんな流れの好景気で、中小企業や、個人が恩恵を受けるわけがありません。

それどころか、税金という形でいつも損をし続けてきているのです。

ちょっと、脱線しました。。

マンションの場合、

設計者にとってのクライアントはデベロッパーですが、
デベロッパーにとってのクライアントは購入者です。

デベロッパーにも設計に対する知識はかなりありますが、
実際に設計をした設計者には、当然ながら劣ります。

購入者の要望をすべて聞き入れてしまうと、
大変な設計変更になることも稀にあるのです。

購入者がデベロッパーに要望

デベロッパーが設計者に購入者の意向を要望

設計者が変更作業

最悪、
大変な設計変更があっても良しとしましょう。

設計には、変更がつきものです。

ですが、その変更が無償であってはいけません。

たとえば飲食店で、、

客:「注文したA定食、ちょっと食べたら美味しくなかったからこっちのB定食に変えて。」

店員:「はい、構いません。」

・・・お会計

店員「A定食とB定食で合計1500円です。」

客:「は?A定食は美味しくなかったから、B定食分しか払わないよ。」

店員「それでは、困ります!」

・・・

こんなことがまかり通れば、飲食店はすべてつぶれます。。

現在の建築業界は、上記したようなことがまかり通ってしまっている部分が多々あります。

・・・

建築というものは、一度作れば短くても30年は使うことを想定します。

30年以上も使う建物なのに、作るときのスピードが早すぎます。

作るときの採算性に重点を置きすぎています。

不動産会社(デベロッパー)にとってみれば、
初期段階での出費を最大限引き出すことが勝負なのです。

実際は、長いスパンで見ればかなり利益率の高いビジネスモデルなのですが、

それに気づかない購入者が多すぎるのも問題だと思います。

一生に一度の買い物なのですから、

購入者がもっと勉強をしなければならないと思います。

大人になって、結婚して、子供ができて、さて家を買うかな・・・

それから考えるのでは、時間がなく遅すぎます。

「住」の教育を、小学校、中学校くらいから行う必要があると、個人的には思っています。



きりがないので、、とりあえず以上です。

もっといろいろと書きたいことはあるので、またの機会に書いていきます。

次回は、クライアントが法人(企業など)の場合です。

前回は、設計者とクライアントの関係について住宅編として書きました。
今回は、耐震偽装事件でも問題となったマンション編です。
かなり書くことがありそうなので、、2編に分けます。



今は、まさにマンションブームです。
土地があれば、マンションが建つと思って間違いないほど、
あっちもこっちもマンションだらけです。

少し頭打ち傾向が見えてきたようですが、まだまだマンション建設は多いです。

なぜ、こんなにマンションが建つのでしょう?

日本は、土地が高いので少ない土地に住宅を上に積み上げることで
効率良く資金の回収ができるのが一番の理由でしょう。

マンションに対する需要があるから、マンションを建てる訳ですが、
現状は、需要に関わらずマンションを建ててしまうような状況だと感じます。

都心、庭付き、一戸建て。

これは、誰もが思う理想だと思いますが、これを実現できるのは限られた
人のみです。億単位のお金の工面ができる方のみに限定されるでしょう。

そうなると、「住」について何がプライオリティとなるのかが問題となります。

マンションが売れる理由から推測すると、

「都心に住めて手の届くコスト」という部分が大きいのだと思います。

まず、エンドユーザー(購入者)の需要があるから現在のマンションの状況に至っている

ということを強調したいと思います。


「都心に住めて手の届くコスト。」

これは、エンドユーザー側からすれば、”最低限”の要望です。

販売する側からすれば、エンドユーザーの”最大限”の要望をできるだけ
聞き入れたいと思うでしょう。

そのためには、まずマンションというものがどのくらいのコストで建設されて、
どのくらいの価格で販売(賃貸)されるか?を考える必要があります。

つまり、販売側のサービスの限界がどこまでなのか?を知ることが重要です。


これは、ある都内中高層マンション(延べ床5000平米程度)の例です。

・土地
 600平米
 坪単価250万/坪 → 4億5千万円

・建物
 延べ床(10階建ての場合、1階〜10階までの床面積の合計)5000平米
 RCマンションの平均的な坪単価70万/坪 → 10億6千万円
 (ワンルームマンションのような、同じプランがたくさんあるような場合は
 もう少しコストが低くなることがあります)

・総工費 
 およそ 15億円

となります。

不動産会社(デベロッパー)は、15億円を先行投資して、
分譲や賃貸をして回収するわけです。

分譲の場合の回収例を考えてみましょう。

・分譲価格
 3LDK70平米の場合(坪単価270万/坪)→ 5700万円

・分譲戸数
 同タイプのものが50戸の場合 → 28億5000万円

・・・なんと、分譲して少々売れ残っても十分利益が出るモデルとなります。。\nその他に、不動産会社の関連の管理会社などに支払われる管理費名目の収入も
かなりあるはずです。

粗利が5割のビジネスなど、そうそうありませんので、
たくさんの不動産会社が、土地があればマンションを建てる理由は納得できると思います。
(実際は、不動産会社の営業経費などを見込めば、もっと少なくなるかと思いますが、
それでも、高収益に違いはありません)

来るか来ないか分からないモデルルームなどに、大人数人が常駐できるわけです。。。
(ちなみに、一人15000円/日で3人で毎月90万円の人件費がかかってます)

そうでもしないと売れないから、その経費を見込んだ収支計画をしているのでしょうが、
そこまでしなきゃ買わないエンドユーザー側の要望があることも忘れないでください。

・・・

「都心に住めて手の届くコスト。」は、

じつは、不動会社から見れば高収益体質のコスト設定に他ならないのです。

お互いにハッピーなのだから、良いのでは?
と思う方もおられるかもしれません。

しかし、それはマンションを設計・建設することを考慮しない場合の考えです。

実際は、そういうわけにはいかないのです。。


・・・その2につづく

11月になりました。
朝方の寒さから、時の流れの早さを感じる今日この頃です。
あっという間に、クリスマス、大晦日、正月・・・となるのでしょうねぇ。。
鬼が笑うので、このへんにしときましょう(笑)。

さて、

これから、「設計者とクライアント(施主)」の関係について、また不定期ですが連載を
書いてみようと思います。
この関係性から垣間見える建築業界の問題点を考えます。

・・・

施主(せしゅ)は、クライアント(依頼主)と同義で使います。

施主は、建物の種類によっていろいろな場合があります。
たとえば、、

・住宅の場合は、個人
・マンションの場合は、デベロッパー(不動産会社など)
・オフィスの場合は、法人(企業)
・公共施設の場合は、地方公共団体(国など)

などがあります。

本日は、まず、住宅の場合について考えます。

建物を建設するときに、当然ながら施主がお金を出します。
小規模の住宅であっても数千万円という高額なお金を出すことになります。
個人の施主の大半は、住宅ローンを組んで買い物をする人生で一度の最大の
買い物であることが多いでしょう。

人生で一度きりの買い物である、「家」の設計なのだから、こだわりがあるのが
当然のことです。

「日当たりの良い家にしたい」
「広いリビングがほしい」
「使いやすいキッチンにしたい」
「部屋は〜室ほしい」
「中庭がほしい」
「屋上庭園がほしい」
・・・

などなど。
大きな決心をした後は、様々な要望、欲求がでてくるのは人として当然のことです。

コストを優先して、建売住宅やハウスメーカーの量産住宅を購入する方もいると思いますが、
今回は、施主が個人の設計事務所に設計を依頼する場合を考えます。

施主が、個人の設計事務所に設計を依頼するときは、「こだわり」がかなりある方が
多いと思われます。

大手ハウスメーカーの住宅展示場にもいろいろ通って、家具やキッチンについても
かなり下調べをして、自分たちが良いと思ったものを頭の中で「切り貼り」した状態で、
設計事務所に依頼するケースが多いかと思います。

このような場合、施主にとって設計者は、
「自分達の作りたい形を正確に理解して、作業してくれる人」、だと思います。

ここで、設計者側からこのような要望のある施主が依頼を持ってきた場合を考えます。

設計者といっても、これもまたいろいろですが、

・効率を重視した現実的(保守的)な設計者
・デザインを重視した革新的な設計者

大きく分けると2パターンの設計者がいます。
(三谷幸喜さんの「みんなのいえ」という映画の中でこのあたりのことが良く描かれています)

前者は、工務店お抱えのいわゆる専属設計者のようなタイプです。
施主の要望を考えながらも、
建設するときの作業性を考えたプラン、コストパフォーマンスの良さの追求など
が念頭にあることが多いでしょう。

後者は、若手デザイナーに多いタイプですが、
雑誌に注目されるような建物に興味の大半があって、施主の要望が自分の好みと
大きくずれていると、仕事を断るような設計者のタイプです。

いずれの設計者であっても、まず施主と顔合わせをして、まず施主の要望を
詳しくヒアリングすることから始まります。

こだわりの多い施主の頭の中にある「切り貼り」された理想の家は、実際に形にするのが
とても難しいことが少なくないでしょう。
施主がスケッチしてきた家のプランを元にして、打ち合わせを始めると、
1階と2階の階段の位置がずれていたり・・壁がずれていたり・・法規に適合してなかったり・・
・・・
大半は、失礼ながらめちゃくちゃだったりします。。
(この状態で、施主のほうに構造安全性など考える余裕などないと思われます。)

それを現実の家として形にしていく作業は、かなり難儀なものです。

さて、
ここから設計のベースとなる基本計画作りがスタートします。
基本計画は無料で行う設計者が大多数なので、施主も複数の設計者に計画作りを
依頼することが多いと思います。

この段階で、施主に対する設計者のサービスの質の違いが現われます。
つまり、「プレゼンテーション能力」の差が顕著にでる段階になります。

短時間で、良い提案ができることが理想です。

しかし、、

ここで、短時間で良い提案をしてきた設計者に対して安易に仕事を依頼するのは、
少し考えたほうが良いと思います。

それは、
設計の能力とプレゼンテーション能力とは別モノだからです。
この段階で、見た目に惑わされてしまう施主は現実的にかなりの人数いると思われます。
要注意です!

一生に一度の大きな買い物なのに、設計者にスピードまで要求すると後々ろくなことがないです。

これは、経験的にも間違いありません。

とは、言っても、のんびるすぎるのも良くないので、このバランスはとても難しいところです。。

家は、設計してから竣工(しゅんこう・・・完成の意味)するまでに、時間がかかるものなので、
気分が変わったり、飽きたり、もっと良いものを見つけてしまったり、で変更したくなるからです。

設計が終わって、工事が始まってからの施主からの要望で設計変更というケースは、
非常に多いです。

「図面を見て想像してたより、狭いから・・」とか
「新しい商品が発売されたから・・」とか
「雑誌を見てたらやっぱりこっちがいいなぁと思って・・」などなど

設計者にとって、施主からの要望はできる限り聞き入れなければならない
「鶴の一声」となります。

設計料を頂戴するわけですから、当然といえば当然です。

しかし、以前からブログでも取り上げているように、
設計報酬というのは、そもそも低いのです。。

なので、2度手間、3度手間となっていけば、それをサービスで行うことは困難になります。

手間が発生した時点で、設計者が施主に「変更設計料」を請求するのは、当然の権利ですが、
これがまた難しいのです。。

設計者も施主に喜んでほしくて設計をしますので、変更設計料の請求は間違いなく
設計者と施主との関係を悪くしてしまうものなので、設計者が請求を限界までガマンすることが
多いでしょう(中には大赤字になってしまっても請求できないお人好しの方もいます)。

これを見て、
「お人好しの設計者を探せば、変更し放題だ!」と思った、新築を計画中の施主がいましたら、
設計者としては、とても悲しいです。。

誤解を恐れずに、申しますと、

そのような考え方が、耐震偽装事件の根底にある一番大きな問題であると認識してください。
良い家は、安くはありません。
良い家は、早くはできません。
メディア等の情報に惑わされないようにしてほしいと思います。

現状は、構造設計料も設計者(意匠設計者が大半です)の設計料から支払われるので、
変更に対する構造検討費用も当然ながら払われないことが多いです。

このようなことの積み重ねが、安全性を脅かす建物を多く作り出していることを、施主の方々にも
もっと認識してもらう必要があります。
(一般的な、木造2階建てはこれまで構造設計の義務がありませんでしたので、確認申請後の
変更設計が多々行われていることが多いと思います)

常識的なモラルの問題だと思いますが、いざ当事者となると、安く、早くを求めてしまうものです。

個人的には、
飲食店に入ったときに、メニューを見て全部0円だったとしたら、、
わたしは、ちょっと怪しくて注文する気になりません。お腹が痛くなったら嫌ですし。
(分野が違いますが、問題になっているソフトバンクの予想外割なんかも、どうなんでしょう・・
シェアを拡げた後に強みのコンテンツ利用料等でペイできる公算なのでしょうけど・・)

わたしは、安くて早くて美味い「吉野家の牛丼」が大好物です(でした)。
でも、一生に一度の買い物だとしたら、「吉野家の牛丼」では嫌です。
「吉野家の牛丼」でも良いという施主は、ハウスメーカーの量産型の住宅や、
マンションを購入したほうが懸命だと思います。

・・・

まだまだ、いろいろと書きたいことがあるのですが、長くなりすぎました。。
それだけ、設計という仕事の背景にはいろいろあるんです。

きりがないので、今回は以上です。また書き加えたりしていきます。

次回は、施主がデベロッパー(不動産会社など)の場合のマンション編です。
もっと、いろいろと書くことがあります。。。