現在の住宅業界は、スクラップアンドビルド型からストック型へと移行しようとしています。景気低迷も手伝って新築需要の急減から既存建物を改修、リフォームしてバリューアップして再利用していこうとする動きが高まっています。言うまでもなく、既存中古建物の懸念される点は「構造」です。安全性がどこまで保障できるのか?が非常に重要になってきます。既存中古住宅は、安いだけで中身は新築には劣るだろう・・・という考えは必ずしも当てはまりません。逆に、大量生産でコストダウンすることばかりを優先してきた昨今の新築住宅のほうがクオリティが劣ることさえあると思われます。政権交代で民主党が掲げるマニフェストでは「ホームインスペクターの育成」が掲げられています。長期優良住宅を推奨する政策は、間接的に利益至上主義の住宅産業に警鐘を鳴らしているように思います。欧米並みにストック市場を活性させるには、日本の地理的事情はあまりにも過酷ではありますが(日本の大地震の発生確率は欧米諸国の100倍と言われている)、住宅産業はいま大きな変化をしようとしています。
弊社は、大学、大手設計事務所、大手建材メーカー3者による共同研究となる耐震補強と建物のファサードの同時に実現する新しい技術の「ファサードエンジニアリング」研究会に3年前から参加して既存ストック建物に関する知見を深めています。現時点では本研究は住宅向けの技術ではありませんが、今後は住宅にも技術を応用して研究成果を実際のプロジェクトに反映したいと思っています。実務的な問題点を解決しながら新しい建築のスタイルを模索していきたいと考えています。
以下、ケンプラッツのインスペクターに関する記事より。
住宅建設現場には設計者でも施工者でもない第三者として、建築基準法に基づいて中間検査を行う確認検査員や、住宅瑕疵担保履行法に基づく瑕疵担保責任保険の現場検査員などが検査に来る。これら公的な検査員とは別に、主に建て主や買い主の私的な依頼で住宅を検査・診断するのがインスペクターだ。検査の専門会社が存在するほか、設計事務所が副業とすることもある。 インスペクターは認知度が上昇しているが、住宅のつくり手側には、厳しい指摘を突き付けてくるのではと不安も感じさせる存在だ。近年インスペクターに検査された工務店2社がとらえた実像はどうだったか。 神奈川県内の工務店A社は当初、インスペクターに必ずしもよいイメージを抱いていなかった。施工ミスを見付けたら請負代金の減額を要求することをほのめかすなど、敵対的な感じのインスペクターが、見込み客についてきたことがあるからだ。このときは見込み客と契約に至らず、インスペクターの検査も受けずに済んだ。 そのA社も2007年に、建て主のBさんと契約した検査の専門会社ホームドクター(東京都新宿区)の検査を受けた。現場へのインスペクター受け入れはA社にとって初めてで、社内にピリピリした雰囲気がみなぎったという。しかし、ホームドクターがA社とBさんに提出した検査報告書は、工事の問題点のほかにA社の仕様や施工の長所も指摘する内容となった。 工務店は他社の現場や図面を見る機会が少なく、住宅業界で自社がどのレベルかを把握しにくい。様々な現場を見てきたホームドクターの検査を受けて、A社は自社の技術水準の高さを知った。 普段の現場とは違う疲労がA社に残ったのも確かだ。ホームドクターは検査を抜き打ちでは行わず、日時を予告して実施したため、A社側は常に立ち会えた。ただ、検査は10回あったので、「毎回立ち会うために都合を付けるのが大変だった」と同社の工事部長は話す。 東京都内の工務店C社は、検査の専門会社さくら事務所(東京都中央区)の検査を受けて、「重箱の隅をつつくのではないかというインスペクターのイメージが変わった」(C社社長)という。 さくら事務所のインスペクターは、この現場には18回も来て施工状況をチェックした。「問題点の指摘には説得力があり、性能の向上を目指す姿勢が感じられた」とC社の現場監督は振り返る。 例えばC社は、アンカーボルトの先端を基礎の鉄筋に溶接していた。この工法は建築基準法に抵触するわけではないが、インスペクターは鉄筋やボルトの断面欠損につながるとして是正を求めた。C社はボルトと鉄筋との接合方法を番線での結束に変更し、他の現場でも踏襲することにしたという。 「近年は住宅の性能が向上して、構造がより複雑になっている。複数の視点からのチェックが必要という考え方が広まるのは自然なこと」。数棟でさくら事務所の検査を受けたことがある工務店D社の社長はこう話し、インスペクターの定着は時代の流れと見ている。




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