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2007年2月アーカイブ

2.20新着求人情報!

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前回のつづきです。

構造設計はあくまでも基準です。

なので、最近ニュースでよく用いられる耐震強度なる数字

0.7とか1.1とかはあくまでも基準に対する数値です。

1.0を下回ると必ず壊れる!とは誰も言えないのです。

言えないどころか、ベテラン構造設計者ほど耐震強度の
示す数字の無意味さを知っているはずです。
(注:1.0以下を正当化しているのではありません)

実際、わたしが経験した構造計算でもこんなことがありました。。

中規模程度の地震を想定した構造設計(1次設計といいます)
ではNGなのに、
大規模地震を想定した構造設計(2次設計といいます)では
OKになるという結果がありました。

そこで、1次設計でOKになるように鉄筋を増やすと今度は
2次設計ではNGになってしまいました。。

構造計算(RC造では特に)では、よくこのようなことが起きます。

(建築専門の方だけ/・・・/内も読んでください)
/・・・
14階建てのラーメン構造のRCマンションで、
3方向からの斜線制限があり各方向からセットバックして
アンバランスな形態だった。

ある階の大梁の鉄筋が1次設計で不足するので
増やすと、2次設計(保有水平耐力計算)でNGになる。
鉄筋を増やさないと1次設計はNGだが、2次設計はOKになった。

その階の大梁の耐力が増すことで崩壊メカニズムに微妙に影響して
2次設計で保有水平耐力が不足してしまう。
それどころか、鉄筋を増やすことで大梁部材がFDとなってしまって
保有水平耐力の値は急激に低下してしまう。

終局強度の算定方法を変えてみたり、層間変形角を変えてみたり
してなんとか成立したが、構造設計の本筋からは外れたテクニック
を用いないと現在の電算出力による構造計算書を正確に作れない
矛盾を示す良い例だと思う。
・・・/

構造設計は、
今ではパソコンなしにはできないほどのスピードを要求されます。

でも、パソコンはあくまでもツールであって判断は当然ながら
構造設計者がするのです。

構造計算ソフトをインストールしたパソコンの出した結果に
翻弄されて自分の判断を歪めてしまっては意味がありません。

でも、、

構造計算書は、パソコンで出力したものでないとお役所や
審査機関は認めてくれないことが多いです
(大臣認定番号があるとか、ないとかというくだらないレベルでの
議論になってしまいます)。

鉄筋一本増やしただけで、計算結果が大きく変わるのが
パソコンでの構造計算なんです。

実際の建物がそんなに繊細なものでしょうか?

それは、間違いなく「NO」です!

そんなに繊細だとしたら、
建物を人に作らせること自体が間違いだというのと同じです。

現場監督に、
「構造計算とおりに施工しなさい!」と言えば、
「総工費と工期を2倍にしろ!」と言われるでしょう。

構造計算技術は、「ハイテク」かもしれませんが、
建築は今も昔も人の手で作る「ローテク」なんです。

なので、「ローテク」で作ることを想定するための
ある程度の「余裕」を持たせて構造計算をするのが
正解だとわたしは考えています。

でも建築業界は、

時は金なり、
鉄筋1本も金なり、
1.2より1.1のほうが安い!

という商業主義が勝っています。

あるデベロッパーの担当者は、計算書を見るなり
「1.2ならまだ余裕あるから鉄筋減らして」
と言う方もいました。

ひどい場合は、
「この金額になるように構造設計して」
なんてことも。。

1.0ぎりぎりの建物は、建設の過程で0.8になる可能性は
大いにあるんです。

人が長期間作るものにミスは必ずあります。

現場が、鉄筋の発注で鉄筋の本数を間違えたり、
方向を間違えて施工したりなんてことはしょっちゅうあります。
(当然、代替案で施工してもらいますが)

構造設計というものが、どんなものなのか?を
多くの人(デベロッパー、ゼネコン、エンドユーザー)に
知ってもらう必要があると思います。

A氏の構造設計の鉄筋は、誰が見ても少なすぎなので
弁解の余地はありませんが、

1.0とか0.75とかの意味も分からずに数字だけが
一人歩きしている現状には、いかがなものかと思っています。

・・・

あっ、ちなみに長くなりましたが、
ここまでが前置きです(笑)。

次回は、
難しい計算をしなくても分かる構造設計、
エンドユーザーが定量的に判断できる構造設計の提案、
を書いてみたいと思います。

いつも、当サイトをご利用頂き誠にありがとうございます。

本日正午頃より3〜4時間ほど、
サーバー不具合によるアクセス障害がございました。

現在は、復旧しております。

ご利用中の皆さまには大変ご迷惑をおかけ致しまして
申し訳ございませんでした。

今後とも、当サイトを宜しくお願い申し上げます。

今回は、また話題になってしまっている(汗)

「構造設計」

をテーマにエンドユーザーに注意してもらいたい点について
できる限り分かりやすく書いてみたいと思います。

「知らなきゃ損する建築構造」

■計算しなくても分かる構造設計


以前、当ブログでも取り上げましたが、
やはり今になって某グループの耐震偽装が問題になってきました。

でも、一昨年のA氏の偽装事件発覚時に比べれば
静かな印象を受けるのはわたしだけでしょうか??

騒いだところで、どうにもならないし・・・

といったあきらめムードなのか、

呆れて何も言えない状態なのか、、

世間の不安を煽ることの無意味をマスコミが学んだのか、、、

いずれにしても、
この種の事件に麻痺している世間一般も含めて、
建築業界は病んでいます。

病んでいる業界に人任せにせず、
エンドユーザー自身が勉強をして「自己責任」という感覚を
持たなければならないと思います。

とは言っても、、

「構造計算」を理解しろ!と言われても、
エンドユーザーにしてみれば、
チンプンカンプンで、全く興味のないものでしょう。

それは、しょうがないです。

設計を職業にしている一級建築士でさえ構造計算は
チンプンカンプンな方が多いのです。。

全部を知る必要は全くないんです。

構造設計は、
構造計算をする前に構造計画を行います。

特殊な建物を除いて、
構造計画の段階では、難しい計算行為は
行いません。

この構造計画こそが、
構造設計の中で一番大事なんです。

なので、構造計画を是非勉強してください!

イメージで理解できることも多いですし、
バランス感覚のある方なら得意になってしまって
面白いと感じる方も多いと思いますよ。

難しい数式を覚えて計算をするのは、
構造設計者に任せてください。

でも、構造計画の段階では
エンドユーザーにも参加してもらって設計者と
対等に議論できるのがベストだと思います。

自分の家の安全性を担保する骨組みについては、
やはり自分で理解している必要性があると思います。

医療の世界でも、
インフォームドコンセント
(治療に先立って病状や治療方法を”分かりやすく”
患者に伝えること)が常識になってきてますしね。

では、

構造計画のプロセスを始めます。

1.建物のボリュームを検討する
 どのような形、広さ、高さの建物にしたいのかを
 法規の適合を確認しながら決めます。

解説:
現状の設計業務は、ボリューム検討の時点では
意匠設計者のみが行うことが多いですが、この段階で
構造計画を同時にできるかできないかで建物の質の
大部分が決まってしまうと言っても過言ではないと思ってます。

2.構造形式を決める
 剛な(かたい)建物にするか、
 柔な(やわらかい)建物にするかを決めます。 

解説:
建物が柔?と思うかもしれませんが、
地震という自然の猛烈なエネルギーの前では、
建物は決して頑丈なものではありません。

人が針金を簡単に曲げられるように、
地震は簡単にみなさんが頑丈と思い込んでいる建物を
崩壊させます。

まず、地震のエネルギーの程度を理解してください。

一般的に、剛な建物のほうが頑丈そうなイメージがあって
良さそうかな?と思う方が多いかもしれませんが、
一概にそうとも言えません。

柔な建物は、地震時に”しなやか”に揺れてくれることで、
建物を損傷から守ってくれるんです。

剛な建物の代表は、
「2x4(ツーバイフォー)」や
「ブレース構造」や
「壁構造」などです。

柔な建物の代表は、
「ラーメン構造」です。
(※ラーメンはドイツ語で「フレーム」の意味で、
麺ではないですよ(笑))

一般的に、5階程度の低層建物の場合であれば
剛でも柔でも建物形状に合った構造形式を採用して
問題ないと思います。
ただ、中高層になってくると剛な建物は地震時に転倒
する可能性がでてくるので柔な構造形式が望ましいです。

3.バランスを考える

どこに柱を設けるか、
どのくらいのスパン(柱間距離)にするか、
壁の配置が偏っていないか、などを決めます。

解説:
柱の位置は、
必要所室の大きさとの関係で決まることが多いです。

ですが、所室を優先して柱位置がめちゃくちゃでは
当然ながら健全な骨組みとはいえません。

構造形式によって、適正スパンというのがあります。
目安ですが、
木造:3m程度
鉄筋コンクリート構造:7m程度
鉄骨造:10m程度
なので、このスパン以下で柱を設けたほうが良いです。
そのほうが、コストも安く、工期も早くメリットが多いです。

壁の配置の場合は、
建物形状の中心(重心)を基点に線対称または点対称
になるように配置するのが基本です。

「南側には採光のために大きな開口を作りたい・・」
というのは誰でも望む希望です。

なので、大抵の住宅は南側の壁が不足しています。

その分を日照の少ない北側に多く壁を設けたりしますが、
これは、理想的にはバランスが悪くよくありません。

地震のときに建物がねじれてしまうんです。

小規模で低層の場合に限って、ねじれを無視しても
良いという構造計算のルールがあるのですが
(構造計算ルート1といいます)、理想的ではない
ということは忘れないでください。

ねじれがイメージしずらい方は、
次の実験をしてみてください。

4つ足のキャスター付のサイドテーブルなどを、
一箇所だけどこかの足のキャスターをロックして
テーブルを動かしてみてください。

ロックされた足を基点にくるくる回ってしまいますよね。

建物も同様です。

建物の場合は基礎があってくるくる回れないので、
剛な壁が多い部分を基点にしてねじれます。

現在の構造設計では、この「ねじれ」というものに
対する個々の部材の安全性の基準が曖昧です。

なので、できるだけねじれない平面計画を
心がけたいところです。

構造計算というのは、あくまでも基準です。

バランスの悪い建物でも、基準を満たすことはできます。

新築の段階で、すでに背骨が曲がっているような
建物でも強引に設計すれば基準は満足できます。

ただ、
「本当にこれでいいんですか?」
と逆に聞きたくなってしまう建物もかなりあります。

自己責任で基準に甘えるのは、自由です。

ただ、

外見的な美しさだけに気を取られずに、
内面(骨組み)の美しさを意識することの重要さを
もっと考えてほしいと思います。

すごい長くなってしまったので、、
続きは次回にします。